リビング京都 中央版 11月24日号
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(2)2012年11月24日(土曜日)中央第1612号プレゼントが入ります編集/内山 掲載日:11/24 出稿表:002-4 サイズ:全8 記事名:フロント2面制作中尾出力→編集部●●宛日本酒を造るときには、蒸し米、米麹(こめこうじ)、仕込み水、酵母(こうぼ)を大きなタンクやおけに入れ、発酵させて〝もろみ〞を造ります。このトロトロとしたもろみを搾ってできた液体が日本酒、その残りの固形物が酒かすです。このときの搾り方によって、酒かすの形状が変わるそう。「圧搾機を使ってできた板状のものが『板かす』、袋詰めにし、重しを乗せたりして搾ったものが『ばらかす』です。これは形状が違うだけで、成分には大差ありませんが、ばらかすのほうがややお酒が残っていて、しっとりしている場合があります」と堤さん。そのほか、酒かすをタンクに入れて、足で踏むなどして空気を抜いたあと、一定期間熟成させた「踏み込みかす(練りかす)」や吟醸酒を造るときにできる「吟醸かす」というものも。「踏み込みかすは、白い酒かすとは異なり、みそのような色をしています。奈良漬やかす漬けといった漬物を作るのによく用いられます。吟醸かすは、生産量が少なくあまり出回りませんが、とても香り豊かです」(堤さん)日本酒を造るときにできる副産物のような存在の酒かす。どんな栄養があって、どんなふうに利用できるのでしょう? 「月桂冠総合研究所」で酒かすの研究に携わる、主任研究員の堤浩子さんに教えてもらいました。調味料として、食材として、使い勝手の良い酒かす。酒かすそのものの味を楽しんだり、隠し味として使ったり。素材や調理法を工夫した〝酒かす商品〟を紹介します。酒かすはどうやってできるの?〝かす〞じゃない! 栄養たっぷり日本酒と酒かすに分かれる前のもろみの状態。20〜30日間かけて発酵させ、搾る工程へ(写真提供:月桂冠)圧搾機にできた酒かすをはがす作業。これが板かすです(写真提供:月桂冠)昭和中期まで使われていた「酒槽(さかぶね)」という道具。発酵が終わったもろみを袋に詰め、酒槽の中に入れてふたをし、棒の先に重しをつけて、ゆっくりと日本酒を搾り出していました。このように袋詰めしてできた酒かすが、現在でいうばらかすです。月桂冠大倉記念館にて展示堤さんによると、酒かすはさまざまな栄養が含まれている食材なのだそう。「酒かすには日本酒を造る材料に含まれている成分と、それらが発酵していく過程で生まれてくる成分の2種類があります。前者はビタミンB、たんぱく質、食物繊維、有機酸が主です。発酵過程では、たんぱく質が分解されてペプチドやアミノ酸などができます。特にペプチドは、肝機能をサポートしたり、高血圧を予防するなどの働きがあることが実験で確かめられています。米に含まれるたんぱく質の一種〝レジスタントプロテイン〞は、発酵すると数倍に増えますが、これはコレステロールを下げる作用があるといわれています」さらに、酒かすは悪酔いを防ぐという研究結果もあるのだとか。「酒かすには食物繊維やたんぱく質が多く含まれていて、胃に粘膜を張ってくれるおかげで、アルコールが体に吸収されるスピードをゆっくりにしてくれるんです」と堤さん。おつまみに酒かす料理というのは、良い組み合わせなのですね。そのほか、「酒かすパック」のようにスキンケアでの利用法も。これはアミノ酸が持つ保湿効果を利用したもので、同社の社員にはパックのほか、お風呂で体をマッサージするのに、酒かすを使っている人もいるそうです。「酒かすを肌につける場合は、まず腕などに少量つけて、体に合うか試してからにしてください」(堤さん)おいしく、食感を良くしてくれる働きも栄養があるだけではなく、料理に加えてもおいしい酒かす。その理由は?「酒かすを料理に取り入れると、味に深みが増しておいしくなります。これはペプチドやアミノ酸がコクを生み出すからです」と堤さん。さらに、食感を良くしたり、保存にも役立つそう。「肉や魚を酒かすに漬けてから調理すれば、酒かすに含まれる酵素がたんぱく質を分解し、肉や魚をやわらかく、ふっくらさせてくれますし、パンを作るときに加えると、穏やかに発酵がすすみ、もっちりとやさしい甘味が加わります。また、かす漬けなどの保存食に用いられていることからも分かるように、雑菌の増殖を抑え、食材の日持ちが良くなることが知られています」日々酒かすを研究する堤さんは、おなじみのかす漬けにもひと工夫。「電子レンジでやわらかくした酒かすに、ホエー(ヨーグルトの上澄み液の乳清)を混ぜて、冷蔵庫で2〜3日寝かせて、かす漬けの床として使っています。ヨーグルトのさわやかな香りと酒かすが合うんですよ」酒かすを一度に使い切れなければ、空気に触れないようにラップで包んで保管を。冷蔵庫で約3カ月、冷凍なら1年ほどは持つそうです。ただし注意点も。「酒かすもお酒。商品によりますが、7%程度のアルコール分を含んでいます。少量を料理に用いる分には問題ありませんが、よく加熱してください。十分加熱しないで食べる場合は、運転は控えてください。アルコールに弱い方もご注意を」「月桂冠総合研究所」主任研究員・堤浩子さん「酒かすにはいろいろな効果があることが実験で確かめられてきていますが、たくさん食べれば効果があるものではありません。食生活に少しずつ、長期間取り入れてみてください」伏見の名水と京都の酒米で作られた清酒「英勲」のなかでも、量が少なく貴重な純米大吟醸の酒かすを、隠し味にしたぜいたくなカレー。芳醇(ほうじゅん)な香りとうま味が、カレーの辛さをまろやかにしてくれています。豊かな香りとマイルドな 辛さがたまらない!「純米大吟醸 酒かすカレー」(1パック525円)/齊藤酒造(伏見区横大路三栖山城屋敷町105)ネコの形が愛らしいクッキーは、大吟醸を熟成させた酒かすを使用。酒かすの香りと味を楽しめる大人のお菓子です。甘さは控えめで程よい塩味もアクセント。チーズにも似た味わいがクセになりそう。カワイイけれど、 しっかりきいてます「白猫の酒かすクッキー」(1枚60円)/HACOBU KITCHEN.(下京区五条高倉南東角)香りはほんのり、 食感はもっちり地域の食材を使いたいという思いから生まれた酒かす入りパン。生地に酒かすを混ぜることでもっちりとした食感に。子どもも食べやすいようにと、酒かすの量は調節されています。「山食パン」(250円)など、酒かす仕込みのパン各種/ふしみパン工房くーぺ(伏見区西大黒町1035-23)右がばらかす、左が板かす取り入れたい!プレゼントします〒604-8560(住所不要)京都リビング新聞社「リビング京都」プレゼント係【応募要項】応募は、はがき・リビング京都ホームページ・ケータイで。※当選者の発表は発送をもってかえます。原則として商品は提供社から発送。同意のうえ応募をパソコン→http://kyotoliving.co.jpケータイ→右上の2次元コード(http://kyotoliving.co.jp/m/)からアクセスを2次元コード対応機種のみ利用可1「京都フードマイスター検定」の公式テキスト来年2月、京料理で使われる野菜、肉、魚、加工食品などに関する知識をためす「京都フードマイスター検定」が、初めて実施されます。合格すれば、京都フードマイスターに認定。「京都フードマイスター検定公式テキスト」(2200円、フードライセンスジャパン発行)には、食材の生産地や栽培、収穫期、成分、特性などを詳細に紹介。この本を、読者5人に。京都フードマイスター検定協会(京都市下京区)=☎075(361)23222ゴビ砂漠からやってきた「恐竜化石」展のペア入場券写真はタルボサウルスの頭骨。大阪市立自然史博物館=☎06(6697)6221希望番号と商品名、〒、住所、氏名、年齢、電話番号を書いて応募を。11月30日㈮必着。ホームページは同日午前10時締め切り大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区)では、特別展「発掘!モンゴル恐竜化石展」(大人1200円、高大生800円)を開催。11月23日(祝・金)~2013年6月2日(日)。世界でも有数の恐竜化石産地であるモンゴル・ゴビ砂漠では、日本の研究機関とモンゴルの共同調査により新しい発見が続いているとか。同展では、本物の化石を中心に展示。このペア入場券を、読者10人に。☎075(212)4411まで広告掲載のお問い合わせ・お申し込みは

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