リビング京都 西南版 2月1日号
1/20

◇2面に続く「叭叭鳥図」、100羽が飛び交う墨の世界おおらかで斬新!宗達による「白象図」妙心寺大法院養源院歴史ある寺社の多い京都。その建物を飾る絵画は、寺社が大切に守っている〝お宝〟です。拝観の目的の一つが絵画鑑賞、というのもいいですね。※文中のふすまや杉戸の絵は、建具1枚の片面を1面と数えています撮影/中尾泰晴ほか杉戸絵があるのは、自刃した武将の血のあとが残る〝血天井〟の廊下。「その霊を慰めるために、宗達は、普賢菩薩の乗り物の白象など、説話を題材にした絵を描いたそうです」と吉水さん「叭叭鳥図」の作者・土方稲嶺は、鳥取藩出身。江戸で修業後、京都に滞在していたことも。同寺には、稲嶺が描いた「長姫像」「瀑布図」なども所蔵されています1594年に建立された養源院。1621年、火災で焼失した本堂を伏見城の遺構を使って再建したのだとか仏教の清浄世界を表した庭園が、わびた風情を見せています「大きなはけのような筆にたっぷりと白い絵の具を含ませてスギの戸板に一気に描いたといわれる〝象さん〞。間近で見ると、戸板の木肌の色を利用して象の体の線が表現妙心寺塔頭(たっちゅう)の一つ、妙心寺大法院。客殿を囲むように広がる庭園を眺めながら奥の庫裏(くり)に進むと、その一室に、生き生きと羽ばたく叭叭鳥(ははちょう)の姿が表れます。「叭叭鳥」とは、中国なされているのがわかりますよ」と話す養源院副住職・吉水一成さん。吉水さんが親しみを込めて〝象さん〞と呼ぶのは、江戸時代初期の画家・俵屋宗達(たわらや・どに分布するムクドリの一種。モズくらいの大きさで、胸のあたりに白い斑点がある全身黒色の鳥です。キュウカンチョウのように人の言葉をまねることができ、江戸時代には人に飼われていたのだとか。そうたつ)が描いた杉戸絵「白象図」(重要文化財)です。同寺の本堂には、宗達が描いた作品として「白象図」「唐獅子図」「波と麒麟図」の杉戸絵8面、ふすま絵「松図」12面が収められています。「これらは、扇の絵や経典の下絵にかかわっていた宗達が、本阿弥光悦の紹介で手がけた初めての大作と聞いています。おおらかな線、構図、斬新なデザイン性など、当時も評判になったのではないでしょうか。50年以上、拝観の案内をしていますが、見ていて飽きることはありません」●東山区三十三間堂廻町656、☎075(561)3887。午前9時〜午後4時。拝観料500円ふすま8面にわたって、約100羽の黒いこの鳥が自由に飛び交う姿を描いた「叭叭鳥図」。江戸中期の画家で、特に生き物の描写が得意な土方稲嶺(ひじかた・とうれい)が、墨一色で描いた作品です。自由自在の心境を表す禅語「長空任鳥飛(長空鳥飛ぶに任す)」の意味が込められているのだとか。3月18日(火)まで、「京の冬の旅キャンペーン」で公開中です。●右京区花園大藪町20。拝観期間は3月18日(火)まで、午前10時〜午後4時。拝観料600円。問い合わせは京都市観光協会=☎075(752)7070絵師が込めた思いは今も━絵師が込めた思いは今も━絵師が込めた思いは今も━2014年2月1日1661号☎075(212)4411㈹http://kyotoliving.co.jpリビング京都がまるごと読めるあります電子ブック2月8日号は休刊です。次回は2月15日号になります。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です