リビング京都 中央版 2月21日号
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◇2面に続く京都医療センター「肥満・メタボリックシンドローム外来」医師 浅原哲子さん京都大学医学博士、日本肥満学会・日本糖尿病学会指導医。13年間で2000人のダイエットを指導。近著は「読むだけでやせる女医の言葉」(セブン&アイ出版)京都大学大学院人間・環境学研究科 応用生理学研究室教授 森谷敏夫さん専門は応用生理学とスポーツ医学。毎日8㌔㍍のジョギングで、自ら健康的な体重管理を実践肥満の予防・改善の食事指導やメニューづくりを担当。「メタボ外来のやせるレシピ」(同センター)を栄養監修京都医療センター栄養管理室長西田博樹さん「ダイエットしなきゃ」と思ったとき、あなたは食事の量を減らしますか? それとも運動量を増やしますか? 体重管理の基本は、食事の摂取エネルギー、つまり〝イン〟と、活動による消費エネルギー、つまり〝アウト〟のバランス。このインとアウトを意識しながら、健康的にダイエットをするポイントを専門家に聞きました。「私たちの体の脂肪組織は、いざというときのエネルギー源として、脂肪を蓄える働きを担っています。食事で摂取したエネルギーが、総エネルギー消費量を上回れば、余った分は脂肪として蓄積。このメカニズムにより、『体重が増える』という現象が起こります」そう話すのは、京都医療センター「肥満・メタボリックシンドローム外来」の医師・浅原哲子さん。総エネルギー消費量とは、生命活動を維持するために使われる「基礎代謝量」、摂取した食事の分解・代謝で消費される「食事誘発性熱産生」、日常動作や運動による「身体活動量」の総量を指します。「基礎代謝量は成人女性で1日1100〜1200㌔㌍。身体活動量は、8000歩の運動で約200㌔㌍。消費を上回る〝食べ過ぎ〞によって脂肪が過剰に蓄積されると、高血圧や糖尿病などを合併したり、動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳卒中を発症したりするリスクも高まります」一方、栄養が偏ったダイエットや過度な食事制限は、体のさまざまな機能を低下させ、リバウンドしやすくなるそう。また、BMI(※)が18・5未満の「低体重」の場合は、それ以上やせるべきでないと浅原さん。「大切なのは、インとアウト、そして栄養のバランスを考えながら、体重を適正にコントロールすることです」※BMI(体格指数):体重㌕÷(身長㍍×身長㍍)。25以上が「肥満」に該当織は、いざというときの総エネルギー消費量と「運動によって身体活動量を増やすことで、より健康的で効率のよいダイエット効果が期待できます」と、京都大学大学院人間・環境学研究科教授・森谷敏夫さんはアドバイス。「人の自律神経は、体重の増減や空腹・満腹などのサインを感知し、脳に伝達して代謝や食欲をコントロールする働きを担っています。体を動かすことにより、自律神経が刺激されて機能が活性化。食べ過ぎが抑制され、摂取したエネルギーの処理能力も高まります」また、運動による筋肉の増加にもメリットが。「基礎代謝量の半分以上を消費するのが筋肉の働きによるエネルギーです。筋肉が1㌕増えると、基礎代謝は約80㌔㌍アップ。太りにくく、やせやすい体をつくってくれるんです」これらの効果をもたらすためにも、「適正な食事の摂取が大切」と森谷さんは言います。「最近は炭水化物などの糖質を制限するダイエットが話題になっています。しかし、人の脳は糖分のみが栄養源。不足すると脳は筋肉を分解し、糖質に変えて栄養を補給しようとします。筋肉が減少するだけではなく、自律神経の働きも低下し、かえって太りやすくなるという悪循環に」イラスト/オカモトチアキ2015年2月21日1706号~ 講座詳細は2月28日号で紹介 ~TEL.075-212-4728春の1,000円体験開催リビングカルチャー倶楽部3/21(祝・土)四条烏丸会場受講料

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