リビング京都 東南版 4月4日号
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◇2面に続く編集/内山 掲載日:4/4 出稿表:001-6 サイズ:全8 記事名:フロント1面制作中尾出力→編集部内山宛新生活をスタートさせる人も多い春は、何かに挑戦してみたいと思う季節でもありますね。そんな気持ちを後押ししてくれるような、新しい人生をスタートさせた人がいます。異業種へ転身をはたし、輝いている5人の姿からはチャレンジする勇気をもらえそう。撮影/桂伸也、深村英司西陣にある「加地金襴」の工房から聞こえてくるのは、カシャン、カシャンという織り機の音。糸がピンとはられた織り機の前で坂田雄介さんは作業をしています。坂田さんが製作しているのは、金糸や光沢のある色合いの絹糸などを用いて作られる金襴(きんらん)という織物。僧侶が着る法衣(ほうえ)や寺院の座布団などに使われています。坂田さんの前職は、ハウスメーカーの現場監督。住宅の建築現場で働いていましたが、3年前、義父が経営する会社で織物をやってみないかとの提案を受けたのだそう。「大学でも建築を学んできましたし、悩みました。でも一度見てみようと工場を訪れたとき、職人の働く姿や織り機が動く様子を見て感銘を受けて。自分で金襴を織れるようになりたいと思ったんです。この決断に妻は、『やりたいって言うと思ってた』と背中を押してくれました」そして昨年4月、家族で京都へ移住。出勤初日から織り機の前に立ち、それ以来、師匠である81歳のベテラン織師から、技術の習得に励む日々を発酵食をメインにした「発酵食堂カモシカ」店主の関恵さんが以前いたのは、医療や福祉の世界。いくつかの会社に勤務後、31歳のときに医療人事のコンサルティングや老人ホームの企画実務を行う会社を東京で起こしました。仕事を通し、さまざまな人と出会う中で気付いたのが、〝病気になる前にできること=予防〞の重要さ。結婚、出産を経て家族に食事を用意するようになると、その思いはより強くなり、健康食としての「発酵食」にひかれ始めたのだそう。東日本大震災後にふるさとである京都へ戻ってからは、祖母に教えてもらいつつ本格的に発酵食を作り始めたと言います。「ラッキョウ、へしこ、かす漬けなど、いろいろなものを仕込みました。発酵食は、微生物の働きでどんどんおいしくなって、それが体にもいい。その面白さにとりつかれました」念願の食堂をJR「嵯峨嵐山」駅近くにオープンしたのは、昨年5月のこと。発酵食品を取り入れた定食やスイーツ、果物の酵素ジュースなどを味わえます。「お客さんに〝おいしい〞って喜んでもらえる幸せを感じています」と話す関さんの強い味方となるのが、夫の雄介さん。「コンセプトを一緒に考えてくれたりと、とても協力的。応援というよりも共同作業という感じですね」過ごしています。「65歳でも若手と呼ばれる職人の世界ですから、自分は赤ちゃんのようなものです。しっかりと技術を学んで、伝統産業を受け継いでいきたい」前職からかかわってきた〝命〞や〝健康〞を、現在は食堂店主の立場で見つめています。手にしているのは3年前に仕込んだみそ。「私たちは、微生物を含めたさまざまな命を食べて元気をもらっているんです」と関さん。後ろにあるのは発酵食品が並ぶ通称「醸し棚」機械を動かしながら糸を巻いたり、重りを調整したり。「今後はいろいろなチャレンジをして、金襴を世界に広めていきたい」医療コンサルティング会社勤務時代の関さん華やかな柄が美しい金襴。つややかで、独特のハリが感じられます関恵さん(37歳)坂田雄介さん(30歳)発酵食を通して見つめる、〝命〞と〝健康〞坂田雄介さん(30歳)関恵さん(37歳)関恵さん私、変えました職人の姿に感銘を受け飛び込んだ、伝統産業の世界2015年4月4日1712号☎075(212)4411㈹http://kyotoliving.co.jpリビング京都がまるごと読めるあります電子ブック4月11日号は休刊です。次回は4月18日号になります。
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