リビング京都 東南版 7月25日号
1/12

◇2面に続く現存しない建物も再現古建築模型を各地の展示施設へ国会議事堂のカーテンや、飛騨高山などの祭りを彩る飾り房博物館などで見かける、昔の建物や街並みを再現した模型。こういった〝古建築模型〞を数多く手掛けてきたのが右京区にある「さんけい」です。これまでに作った古建築模型は500個以上。ほとんどすべての都道府県の施設に納入実績があるのだそう。京都市生涯学習総合センターに展示されている「平安京復元模型」(1/1000)も同社が製作したものなんですよ。「創業は昭和38年。当時は大規模なビルなどを建設する際の模型を主に作っていました。その後、全国に博物館ができ始め、古建築模型を作るように。ほとんどが現存しないものですから図面がありません。博物館などに展示するときは、専門家の監修のもと、建物の様式や模型内に配置する人の衣服や器などの小物まで再現します」と代表取締役の勝見文子さん。現在、古建築模型の職人は5人。木材を選び、角材を作るところから行います。「実際に建てるのと同じように、基礎を作り、柱を立てることも。実物に1㎝角の穴が開いている場合、1/10の模型なら1㎜角の穴を開けなくてはなりません。ミリ単位の作業をするために、カンナやノミなどの道具も自分たちで作って、細かな作業を積み重ねます」と同社取締役・松並竜也さん。「大変な作業ですが、たくさんの人に見てもらえるのはうれしいことです」地下鉄「五条」駅近くの住宅街にある「岡本啓助工房」。明治時代に創業した〝房〞の製作工房です。「昔は袱紗(ふくさ)につける房を作っていましたが、今は祭りの装飾に使う和房と、カーテンのフリンジやタッセルといった洋房のあつらえ品が多いですね」と話す3代目主人の岡本宏一さん。20年ほど前には国会議事堂の閣議室などのカーテンフリンジを作ったことも。「文化庁から耐用年数は50年と言われたので、まだあるでしょう」と誇らしげな笑顔。工房に保管しているその一部を見せてもらいましたが、時間の経過を感じさせないつややかさです。「材料には主に正絹糸(しょうけんし)と呼ばれる最高級品質の絹の糸を使いますから、何年たっても美しい。色づかいや結び方、編み方は、アート感覚。飾られる空間を見てデザインを決めていきます」活躍の場は、祇園祭をはじめ、岐阜県の高山祭など全国の祭りでも。「愛媛県の祭りで使われる〝太鼓台(たいこだい)〞という山車(だし)につける房は、長さ95㎝もあるんです」と岡本さん。相撲の行司の中にも、岡本さんの房がついた軍配を使っている人がいるそうです。撮影/ナリタナオシゲ、橋本正樹、山﨑晃治ほか古くから伝わる伝統工芸に加え、ハイテク、工業などさまざまな産業が盛んな京都。地元にとどまらず、全国各地でその〝モノづくり〟の技術が役立っています。そこで今回は、文化と医療の分野をクローズアップ。京都生まれの技がこんなところでも!という驚きがありますよ。国会議事堂で使われているフリンジ。上から衆議院御座所、参議院御休息所、閣議室の3種岡本啓助工房なんですさんけい同社の展示室には、昭和30年代の京町家を1/20のサイズで復元した模型が。「瓦も1枚1枚作っています」と勝見文子さん岡本宏一さんが手にしているのは、行司の軍配に付ける房。「ヒモの両端に1房ずつ飾り房がついています。それぞれの房は、正絹糸をよって作った365本の『より房』で仕立てています」京都市内にある寺院の建物を製作中の松並さん。完成まで、あと2年!工房内の機械に正絹糸をセットし、専用の枠に巻き直す作業をする、岡本幸子(とみこ)さんは4代目。「3年前から工房で働いています。小さいころから手伝っていますが、父が感覚でやっている作業が多くて、勉強することがいっぱいです」江戸東京博物館に展示されている「両国橋西詰」の模型(1/30)さまざまな場所で、技術や製品が役立っています実はこれ、細かな作業をするための小さなカンナやノミは職人の自作2015年7月25日1725号☎075(212)4411㈹http://kyotoliving.co.jpリビング京都がまるごと読めるあります電子ブック土日祝除く 午前9時30分~午後5時 1 0120(855)123リビング京都検索http://kyotoliving.co.jp/※機種によっては利用できない場合があります本誌・送料とも京都でかなえる家づくり2015年度版Building Your Dream Home in Kyoto 2015無料!好評受付中!今すぐお申し込みを!2次元コードからアクセス

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です