リビング京都 中央版 6月11日号
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(5)2016年6月11日(土曜日)中央第1762号 創立76年の伝統校・京都府立嵯峨野高等学校を訪れたのは、榊原志保さん・日向子(ひなこ)さんと、山形典子さん・優織子(ゆうこ)さん親子。日向子さん、優織子さんはともに京都市内の中学2年生。やや緊張気味の一行を校長の山口隆範さんが笑顔で迎えました。 「わが校について語ることは山ほどあり、短い時間では言い尽くせません(笑)。京都こすもす科、普通科があり、どちらのコースでもきっちりと学力を追求していきます。しかし、大学に送り出して終わりではありません。10年先を見据え、グローバル社会でリーダーシップをとれる人材の育成を目指しています」 同校では、受験時に「京都こすもす科」「普通科」を選択。京都こすもす科には、「専修コース」「共修コース」があり、共修コースと普通科は1年次終了後に、理系の「自然科学コース」または文系の「人間科学コース」へと進みます。 京都こすもす科専修コースは、SSH指定校ならではの理数系専門科目を、3年間の高度な一貫教育で展開。将来の科学・医学分野のリーダーを目指すコースですが、「自分一人ではなく仲間と切磋琢磨(せっさたくま)することで、がんばれるんです」と山口さん。 物理系(超電導、都市工学など)、化学系(高分子粘弾性など)、生物系といった分野を少人数の研究集団(ラボ)で学ぶ「スーパーサイエンスラボ」を採用。京都大学・大阪大学・京都府立医科大学などと連携し、フィールドワークも含めて取り組んでいます。 共修コースでは人文科学、社会科学、国際関係・英語、自然科学の4つの領域から15のラボに分かれて研究が行われ、普通科もこれに準じた内容になっています。京都や大阪の大学と連携し10年先を見据えた人材を育成※スーパーサイエンスハイスクール(SSH)、スーパーグローバルハイスクール(SGH)=いずれも文部科学省の制度。SSHは、2002年度~。理科・数学に重点を置いたカリキュラムの開発や、大学および研究機関などとの効果的な連携方策を確立するために、理数教育を重点的に行う高校が指定されている。SGHは、2014年度~。グローバルリーダーの育成を目指し、国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う高校が指定されている。写真右から、山形典子さん、山形優織子さん、校長・山口隆範さん、榊原日向子さん、榊原志保さん。学校の魅力をたっぷりと教えてもらいました2、3階が吹き抜けの図書室。ゆったりとしたスペースで読書を楽しめます数学の難問が書かれた〝数学おもしろボード〞。生徒が自由に解答していきます 京都市内の公立高校では、現在どのような教育が行われているのでしょうか。さまざまな〝京都事情〟を探るこのコーナーの初回は〝公立高校編〟。3回に分けて特集し、特徴的な取り組みをする3校を通して、公立高校の〝今〟を探ります。文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」と「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」指定校である、京都府立嵯峨野高等学校を、2組の中学生とその保護者が訪ねました。取材協力/京都府立嵯峨野高等学校 京都市右京区常盤段ノ上町15 http://www.kyoto-be.ne.jp/sagano-hs/1学年8クラス(京都こすもす科5クラス、普通科3クラス)326人。生徒総数3学年で984人副校長の村田勝彦さんが自習室を案内。個別スペースが確保され、集中しやすそう茶道部の生徒が使う本格的な茶室。表千家流(堀内家)を学んでいます伝統工芸染色実習室では藍染めの授業をしています。先輩の作品を手に「きれいですね」と2人 同校は2012年度からSSHに、2014年度からSGHに指定されました。全国で約5000ある高校の中で、両方の指定を受けているのは二十数校のみ。さらに2013年度からはSSHの中でも拠点的な役割を担う、〝重点校〞となっています。 そんな嵯峨野高校だからこそチャレンジできるテーマは幅広く、中でも国際交流の機会と多彩な内容が注目されます。1月には1年生全員がシンガポールへの研修旅行に参加。4泊5日の日程で現地校との交流や、ガイドに頼ることなく市内を巡るなど、実践を通して「英語力」を鍛えます。 7月と11月には「アジアサイエンスワークショップ」がシンガポールと京都で開催され、双方がホスト校となって、生徒が訪問し合います。韓国・韓一高校合同ワークショップ、アメリカ・フロリダ研修、カナダ・ケベック研修も。 「卒業生は〝嵯峨野は世界に近い〞と言ってくれます。将来は日本語が母国語でない人と一緒に仕事をするのは当たり前になっているでしょう。数多い国際交流の機会と多彩な内容1年生全員がシンガポールへ言いたいこと、伝えたいことを英語で話せるようになるのが大切。語学はやれば誰でもできるようになるんです」と山口さん。 日向子さん、優織子さんは「英語はそれほど得意じゃないんですけど、海外研修はとても楽しそう。がんばろうという気持ちになりました」と、にっこり。 校内設備もSSH指定校ならでは。実験室は分析科学室、構造解析室、恒常恒湿室など専門別にあり、地学実験室の天井にはプラネタリウムがはめ込まれています。彫刻実習室、構成デザイン実習室はプロのアトリエのよう。京都らしい伝統工芸染色実習室も。 訪問日は土曜でしたが、自習室では在校生が熱心に勉強していました。自習室は平日も朝7時から午後7時まで開放。授業前の予習に利用する人も多いそう。90%以上の生徒が所属しているクラブ活動との両立を図るなど、有効的に〝朝活〞しているようです。 2、3階が吹き抜けになった図書室は開放的で居心地が良い空間。蔵書は約3万冊。同校卒業生の若手作家、武田綾乃さんの著書「響け!ユーフォニアム」のコーナーに興味津々の2人。高校の吹奏楽部が舞台の小説ですが、吹奏楽部所属の日向子さんは「前から読みたいと思っていました」。 校内の見学を終えて、優織子さんは「実験室が細かく分かれているのにびっくり。ほかにはないですよね。高校生は忙しそう!」と感想を語ってくれました。 高校の3年間をどう過ごすのか。山口さんは「嵯峨野での3年は確かに忙しい。しかし、人生2倍忙しいと2倍楽しいですよ」と、2人に温かいエールを送りました。細かく分かれた実験室の数々プラネタリウムも完備構造解析室で教諭の川本公二さんから分光光度計について説明を受けました中学生と保護者が京都府立嵯峨野高等学校を訪ねました※ 著作権上、この記事データの無断使用や、Webへの転載はできません。※ 色、画質は出力環境により変わります。ファイル名061110A20z10送馬渕教室5校訂正初原田2柏原3下4下56組替企画名Web紙面再掲LESのみWeb使用不可P(□□□□□□□□□□)↓(□□□□□□□□□□)紙面再掲+Web用追加テキストあり編集:伴営業:前原制作:吉村掲載エリア北西(池)北中(万)北東(茨)京阪(菊)南大(泉)大シティ大北(城)大南(浪)阪東(崎)阪中(甲)阪北(歌)他神明(明)神東(灘)送り組都合※確認印TELFAXURL検索QR価格日時写真0510デザイン進行管理

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