リビング京都 中央版 6月25日号
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(9)2016年6月25日(土曜日)中央第1764号 「今日は何でも遠慮なく聞いてください」 ガラス張りのスタイリッシュな校舎が目を引く、京都市立堀川高等学校で、校長の恩田徹さんが、森弘枝さん・碧輝(たまき)くん、林将也さん・琴子さん親子を笑顔で迎えてくれました。 同校は1908年、堀川高等女学校として創 これまで探究基礎で扱われたテーマは多彩。「軍備を一切持たない平和は可能か」に挑戦した生徒もいれば、「泥団子が球形を維持できるのはなぜかー粒形と表面張力の観点から」「京都における〝いけず石〞の歴史的・文化的考察」などユニークな発想のものも。 授業とは別に「自主ゼミ」も活発です。クラスの枠を越えたグループで共通のプロジェクトを実現する試み。企画書を提出し、プレゼンテーションを経て、校長のゴーサインが出れば実行に移せます。「選出基準は、おも 1年生の3月に実施される「海外研修」でも、生徒の自主性が尊重されます。本年度の行き先は、アメリカ、オーストラリア、マレーシアから選択でき、NASA訪問やオーストラリアでのホームステイなど、生徒が研修内容を企画。このほか、中学生向けの学校説明会も生徒が運営します。この説明会で堀川受験を決めたという生徒も多く、毎回注目されています。 碧輝くんは、「堀川高校に入学するために、中学生の間にやっておくべきことはどのようなことですか」と質問をぶつけ 京都市内の公立高校の教育事情を探るシリーズ。最終回は〝探究学習〟を推し進める京都市立堀川高等学校を取り上げます。「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」と「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」指定校であり、生徒の自主性を何よりも大切にする同校を、2組の中学生とその保護者が訪ねました。中学生と保護者が京都市立堀川高等学校を訪ねました失敗恐れず目標に挑戦できそう〝自立する18歳を育てる〞を目標にほかにはない探究基礎授業を展開探究の新たな形〝自主ゼミ〞も活発授業を重視し、行きたい大学へ海外研修、学校説明会も生徒が企画・運営自主性が鍛えられ、たくましく成長立。1999年から「人間探究科」「自然探究科」を設置し、普通科と合わせて3つの学科に。2002年、SSHの第1期指定校になり、4期連続で継続。2014年にはSGHの指定を受けています。 〝自立する18歳を育てる〞を目標に、同校が重点的に取り組んでいるのが「探究基礎」という週2コマの授業。2年生9月中旬に行われる「探究基礎発表会」を中間発表として位置付け、10月中旬の論文提出を目指して1年生からスタートします。「探究基礎」では、生徒自身が〝探究基礎委員〞となって運営。9人前後のゼミに、複数の教師と大学院生のティーチングアシスタント2人がサポしろそう・今までにない・実現可能かどうか」と恩田さん。内容によっては大きな予算を伴うものもあり、企画書の練り直しや問題点の見直しなどを繰り返しながら、目標達成を目指します。 3年生のある自主ゼミでは「フィレンツェの交通規制に学ぶ〝歩くまち・京都〞改革の推進」をテーマに研究。実際にフィレンツェでの現地調査も実現させました。「探究学習は、現在の大学入試には役に立ちません(笑)。けれど間違いなく夢はあります」と恩田さん。 進路実現のために、授ました。「基礎学力はしっかりつけておいてください。テストの点数に一喜一憂するのではなく、勉強したのになぜできなかったのか、振り返ることが大切です」と恩田さんがアドバイス。「中学時代は、人前で話すなんて無理!という生徒も、本校で探究学習を進めるうちに、どんどん変わっていく。課題や研究内容に何度もダメ出しされるのは、おそらく生徒にとってはしんどいことでしょう。でもね、ダメ出しされるうちに、徐々に失敗が怖くなくなっていくんです。探究基礎発表会ートする、ほかにはない授業です。 恩田さんは「優等生の〝調べ学習〞と一番違うところは、答えが見つからない〝問い〞を1年間かけて追究していくことです。探究の〝型〞と〝方法〞は教師が教えますが、課題を見いだし、どう展開していくのかは生徒自身が考えます。ですから、最初からうまくいくことなんてまずありませんし、たくさん失敗もするでしょう。けれど、失敗するということは、目標が高いという証拠でもあるんです」と〝探究〞の醍醐味を語ります。 生徒同士の質疑応答、相互評価も活発で、探究基礎発表会では、大学の先生や研究者から評価を受けることもあります。業を最も大事にしている同校。年間7回以上の模擬試験は、難関国立大の入試レベル。授業の定着を図る「土曜テスト」、土曜PST(パーソナルスタディータイム)を設け、教室を自習室に開放しています。PSTには卒業生のボランティアスタッフが常駐し、学習や進路で、〝うちの子がこんなにしゃべれるなんて〞と保護者が驚かれるほどたくましくなります」とにっこり。 琴子さんは「私も、失敗を恐れず、おもしろいと思えること、大きな目標を見つけたい」と感想を語ってくれました。取材協力/京都市立堀川高等学校京都市中京区東堀川通錦小路上ル四坊堀川町622-2 http://www.edu.city.kyoto.jp/hp/horikawa/LED照明を採用し、環境保全に配慮した図書室。蔵書は約4万冊。放課後は自習室としても利用できます副校長の谷内秀一さんが校内を案内してくれました。アトリウムを挟んで北館と南館に分かれています5階まで吹き抜けの空間が特徴的です。文化祭では1階がステージにもなり、階段や渡り廊下から見物する人であふれるそう図書室2階のマルチメディアコーナーには、〝自主ゼミ〟の経過や発表がパネルで掲示されていますガラス張りのアトリウムは堀川通からも目を引きます。校舎の愛称は「BIG BOX」1校長の恩田徹さん(中央)は「夢を持って、たくさん失敗をすることが大切です」とユーモアも交えながら語ってくれました 2アトリウムに設置された、SSHのシンボルともいえる「フーコーの振り子」(地球の自転を証明する装置)の前で。写真左から林将也さん・琴子さん、校長・恩田徹さん、森碧輝くん・弘枝さん相談に応じています。 訪問した日は、卒業生の川崎明宙(あきひろ)さん(京都大学工学部2年)が担当でした。在校時は探究基礎委員を務めるなど充実した高校生活を過ごした川崎さん。「本当にいい高校なので、ぜひ入学してください」と2人を激励しました。12掲載エリア北西(池)北中(万)北東(茨)京阪(菊)南大(泉)大シティ大北(城)大南(浪)阪東(崎)阪中(甲)阪北(歌)他神明(明)神東(灘)送り組都合0510デザイン進行管理★※7月末日まで※税込み

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