リビング京都 東南版 11月26日号
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(6)2016年11月26日(土曜日)東南第1783号  営業:長田  制作:橋本(紅林)PolarStar112601B52z13電気事業連合会※リビング新聞の記事は、弊社および関連のwebサイト上に掲載され 0120(000)000ゲラチェック欄 ※確認印をお願いしますTELFAXURL検索QR価格日時写真西東京南むさしの東京副都心まちだ東京東多摩千葉ふなばしさいたまかしわとちぎ横浜南横浜東田園都市東京つくば大江戸湘南特送り10/2611/1419:45紅林12:0011/711/1511:45紅林16:3511/711/1616:4012:3011/1211/1612:40紅林了13:4511/1200/0021:55紅林00:0011/1400/0010:40紅林00:00取材協力/電気事業連合会http://www.fepc.or.jp女優・生稲晃子さんが「幌延(ほろのべ)深地層研究センター」を見学 毎日の生活に欠かせない電気。でも、使うだけではなく考えなくてはならない課題もいろいろあります。 原子力発電所で使用した燃料を再処理した後に残る“高レベル放射性廃棄物”もその一つ。そこで女優の生稲晃子さんが、北海道・幌延町にある幌延深地層研究センターを訪問。同センターで行われている処分技術の調査・研究について取材しました。「私には関係ない」ではなく、まずは知ることが第一歩なんですね地下350mの世界を体験しました「環境への影響は」「ほかに方法はないのか」など、気になることがあります地下は思っていたよりもずっと安定した環境で、印象が変わりましたNews勉強室ミセスの 「幌延深地層研究センター」は、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する調査・研究を行う施設です。実際に地下深くまで堀り進めて、地質、地下水などの地下の状態や環境への影響などを研究しています。 作業服に着替えた生稲さんから、同センターの佐藤稔紀さんに、「〝高レベル放射性廃棄物〞という言葉は聞いたことはあるのですが、具体的にどんなものなのでしょうか」と質問。 「原子力発電で使われ 「こんなに地下深くに来たのは初めてです」という生稲さんに、「地下は人間活動や自然現象の影響を受けにくいので、安定した環境が保たれているんですよ」と佐藤さん。「地震が起きたらどうなるんですか?」との問いには「地下深部の地震の揺れは、地表に比べると2分の1から3分の1なんです。また、人工バリアシステムは岩盤と一体になって揺れるため、影響はほとんどないんです」との答えが返ってきました。 「地層処分以外に方法はないのですか?」と生稲さんが聞くと、「原子力を利用してきた各国でさまざまな検討を行った結果、地層が本来持っている〝物質を閉じ込める性質〞を利用する方法が、た燃料の95%はリサイクルできますが、残り5%は放射能レベルが高い廃液の状態で残り、そのまま処分するのは難しい。そこで化学的に安定した性質を持つガラス原料と融かし合わせ、キャニスターと呼ばれるステンレス鋼の容器の中でゆっくり固めて〝ガラス固化体〞にします。これが高レベル放射性廃棄物なんです」と佐藤さん。 「高レベル放射性廃棄物を安全に処分する方法として、地中深くに埋める〝地層処分〞が最適というのが世界共通の認識です。日本でも地下300mより深いところに埋めて処分することが前提になっています」と教えてくれました。 「地下に埋めて、環境最も現実的で安全性が高いと判断されています。宇宙処分、海洋底処分なども検討されましたが、技術的な問題や国際的な条約による制限などがあり、実現は困難と考えられています」と佐藤さん。 地層処分計画が具体的に進んでいるのはフィンランドとスウェーデン。フィンランドでは、処分施設の建設について既に政府の許可が出ていると聞いた生稲さんは、「日本の状況はどうなっているのでしょうか?」と質問。 「現在、日本にある高レベル放射性廃棄物の量は、ガラス固化体の状態で貯蔵しているのが約2400本。これからガラへの影響はないのですか?」との生稲さんの問いには「地下深部は地下水の動きが極めて遅いうえ、酸素が非常に少ないため金属の腐食やガラスの溶解が起こりにくいのです。またガラス固化体はそのまま埋めるのではありません。地層処分のシステムは、天然のバリアと複数の人工バリアを組み合わせた、多重バリアシステムで構成されます」と佐藤さん。※左図 「そうはいっても日本は地震が多いし…。ほかに方法はないのかな?」「日本に高レベル放射性廃棄物はどのくらいあるのかしら?」など、次々に疑問が生じた生稲さん。そこで地下施設を見学しながら、教えてもらうことにしました。ス固化体にする分も加えると約2万5000本相当になります。日本では、処分地を選定する際の進め方について検討が行われています。地上で長期にわたり安全に管理し続けるような負担を、将来の世代に先送りしないためにも、我々世代が責任を持って考えなくては」と佐藤さん。 「〝難しそう〞〝私には関係ない〞と思ってしまいがちですが、これまで電気を利用してきたのはまさに私たち世代。自分のこととしてちゃんと考えなければいけないですよね。そのためにも、まずは〝現状を認識する〞という第一歩を踏み出すことが大切なんですね」と生稲さん。生稲さんにとっても、多くを知る体験になったようでした。1968年生まれ。東京都出身。1986年6月フジテレビ系「夕やけニャンニャン」おニャン子クラブのオーディションに合格。おニャン子卒業後は、女優・リポーター・講演活動等で活躍。主な出演番組に「キッズ・ウォー」(TBS系)、「芸能花舞台」(NHK)、「ちぃ散歩」(テレビ朝日系)など。主な著書に乳がん闘病をつづった「右胸にありがとう そして さようなら」(光文社)。2016年9月、安倍首相を議長とする「働き方改革実現会議」の民間議員に選出◀ 昨年完成した地下350mにある試験坑道。円型のコンクリート(写真右上)の向こう側では、高レベル放射性廃棄物に見立てた装置を実際に地下岩盤に埋めて、多重バリアシステムの性能を確認するための試験が行われています 高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究内容を紹介している「ゆめ地創館」と「地層処分実規模試験施設」も見学。放射性物質を閉じ込める“人工バリア”が展示されています(写真上)。生稲さんは「中心がガラス固化体の模型。それを厚さ19cmの金属で覆い、さらに粘土を主成分とした、厚さ70cmの緩衝材(写真左下)でガード…。何重にもバリアするんですね」と驚いた様子。緩衝材に使われるベントナイトという物質は、水を含むとすぐに固まる性質があります。実際に確かめる実験をした生稲さんは、「逆さまにしても水がこぼれない。これが人エバリアの力ですね」と感心していました(写真右下)。▶ 地下の岩盤に直接触れることができる、通称“幌延の窓”。「自然の営みを感じます」と生稲さん◀ エレベーターで約4分、地下350mにある調査坑道に到着! 思わず上を見上げ、深さを実感地下350mにある調査坑道に立つ生稲晃子さん。「高さ3m、幅4mの通路がどーんと奥まで続いています。地下水で湿っていると思ったのに、乾いているんですね。地下水の成分を調べるといつの時代の水かわかるというから驚きました」多重バリアシステム:ガラス固化体を、地下水との接触を防止する金属製の容器(オーバーパック)と、水を通しにくい粘土を主成分とした緩衝材で覆った人工バリア+岩盤の天然バリアからなる日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター深地層研究部堆積岩地質環境研究グループグループリーダー佐藤稔紀さん女優 生稲晃子さん 埋めることで環境への影響はある? ほかに方法はないの? 地震が起こったらどうなる? 日本にはどのくらいの量の “高レベル放射性廃棄物”があるの?見学の様子いざ出発!“高レベル放射性廃棄物の地層処分”ココが気になる!地層処分に使用される「人工バリア」の展示もありました最終処分地の決定は私たち世代の責任高レベル放射性廃棄物の多重バリアシステム

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