リビング京都 西南版 2017年2月4日号
12/12

(12)2017年2月4日(土曜日)西南第1790号「風雅双韻抄」の著者は前田正子さんと加藤初恵さん。10年ほど前から、「長岡京漢詩作詩研修会」に参加し、創作活動に励んできました。60首ずつを収めた今回の作品集の中では、日常のひとコマなどとともに大山崎町の風景が詠まれています。二人がともに題材としたのが宝積寺です。左上の写真に記された漢詩が加藤さんの作品。「山門の辺りの、美しい春の情景を表現しています」(加藤さん)前田さんは節分祭、秋の茶会、そして閻魔(えんま)堂を取り上げた3作を収録しています。「季節ごとに違った風景が見られます。まなざしが鋭くて印象的な、閻ガイドの経験も生かされています魔堂にまつられている閻魔大王を詠みました」宝積寺の写真の右側にあるのが、〝山伏の大日さん〞の写真と、前田さんによる漢詩。阪急「西山天王山」駅の南側、山伏という地区の田んぼに囲まれた森にあるほこらに、大日如来地蔵がまつられています。「地元の人にもあまり知られていない場所です。ここに伝わる昔話も盛り込んでみたんです」(前田さん)江戸時代、この場所に住む人の家が火事で焼け、土地を売ったというのがその昔話。「新たな土地の所有者の夢に大日地蔵さんが出てきて『元の人のところに返してほしい』と言っそのほか、大山崎町歴史資料館に展示されている「信貴山縁起絵巻」(一部・複製品)や、長岡京市から大山崎町を通って淀川に合流する小泉川、天王山を眺めた景色や、その山頂を題材にした作品も。ページをめくると現れる漢詩の数々。昨年10月、大山崎町の女性2人が漢詩の作品集「風雅双韻抄」を作りました。宝積寺や天王山といったスポットが詠まれた漢詩から、大山崎町の魅力が再発見できるかもしれませんよ。を通すと、大山崎町がまた山町違って見えてきますたのです。結局元の持ち主に土地は返されました。大日地蔵さんが何か語りかけているのでは、そんな思いを表す漢詩です」(前田さん)「大山崎町は自然や歴史が残る場所。日々の生活の中でも、漢詩のアイデアが浮かびます」と加藤さんは話します。共同の作品集ということで、二人の作風や目の付けどころの違いも見どころ。加藤さんは心情が気持ちの良い春のひととき。ここは素晴らしい春景色。宝寺山門あたりも限りなく美しいです。柳にも優しい風がそよぎ、夢の中にいるようです。花が咲き誇るあたりはゆったりとして夕日がさしてきました。(加藤さん)もともと詩吟をしていた前田さん(左)が漢詩を始め、加藤さんにも声を掛けたそう。題名の文字は、書道をたしなんで40年以上という加藤さんが手がけました。「口語訳も付けているので、漢詩に親しみがない人でも気軽に手にとってもらえたら」(前田さん)よく表れた漢詩が多いとのこと。一方、前田さんは歴史を踏まえた作品が目立ちます。「『大山崎ふるさとガイドの会』でのボランティアガイドの経験も作品に生かされていますね。大山崎町は古くから風光明媚(めいび)な土地として文化人から愛されていました。平安時代、嵯峨天皇が編さんした漢詩集『文華秀麗集』にも、大山崎町の景色が詠まれています。町の魅力を多くの人に知ってもらいたいです」「風雅双韻抄」は、大山崎町立中央公民館(大山崎町円明寺夏目26、阪急「西山天王山」駅から徒歩約15分)の図書室で閲覧可能。問い合わせは前田さん=☎075(957)5856=へ。寶積寺郊行 淸明時節好春華 寶寺山門感無涯 柳外輕風如夢裏 花邊淡藹夕陽斜晩秋大日森 夕照餞秋郊野邊 彩畦落葉勝花妍 森中祠屋人蹤少 石佛何談有古傳初夏天王山 麥秋山色最淸妍 流翆欲溜深眼前 古諺殘名形勝嶺 落花時鳥被心牽秋を惜しむかのようにゆっくりと陽が沈んでいきます。辺り一面落ち葉で埋め尽くされ、その美しさは花に勝っています。森の中に小さな祠がありますが訪れる人は少なく、石の大日様は何かお話されようとしていますが、さて昔より伝わるお話でしょうか。(前田さん)初夏の天王山の景色はとても美しい。新緑が山を包み私の目の前に迫ってきます。天下分け目の天王山ということわざはあまりにも有名です。季節は慌ただしくめぐり、花や鳥にも愛おしく感じられます。(前田さん)大漢大山山崎詩2人の女性が詠んだ宝積寺や天王山が作品集に天王山山伏の大日如来地蔵宝積寺山門寶積寺郊行 淸明時節好春華 寶寺山門感無涯 柳外輕風如夢裏 花邊淡藹夕陽斜晩秋大日森 夕照餞秋郊野邊 彩畦落葉勝花妍 森中祠屋人蹤少 石佛何談有古傳初夏天王山 麥秋山色最淸妍 流翆欲溜深眼前 古諺殘名形勝嶺 落花時鳥被心牽寶積寺郊行 淸明時節好春華 寶寺山門感無涯 柳外輕風如夢裏 花邊淡藹夕陽斜晩秋大日森 夕照餞秋郊野邊 彩畦落葉勝花妍 森中祠屋人蹤少 石佛何談有古傳初夏天王山 麥秋山色最淸妍 流翆欲溜深眼前 古諺殘名形勝嶺 落花時鳥被心牽●主な配布地域=右京区・南区・西京区・向日市・長岡京市・大山崎町・伏見区●配布部数=148,700部(2016年日本ABC協会報告予定宅配部数)(※リビング京都3エリア合計483,850部を宅配)●紙面に広告主名が見出しとして表示されているものは、その企業・機関からのPR情報です。リビング新聞は仙台から鹿児島まで全国65エリア(版)900万部をネットワークしています。 ●表示価格で特記事項のないものは消費税額を含んだ総額表示です(免税・非課税商品は税が転嫁されません)●個人情報の取扱いについては当社ホームページまたは個人情報保護推進事務局 ☎075(257)6504(祝日を除く月曜~金曜、午前10時~午後5時)までお問い合わせください。本紙掲載の広告主が収集した個人情報に関しては各広告主へお問い合わせください。[紙面の無断転載を禁じます]〒604-8141 京都市中京区蛸薬師通高倉西入泉正寺町330 京都リビング新聞社ビル ☎075(212)4411㈹http://www.jafna.or.jp日本生活情報紙協会加盟紙電子ブックも読めますホームページでは無料のhttp://kyotoliving.co.jp

元のページ 

page 12

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です