リビング京都 東南版 2017年6月3日号
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(4)2017年6月3日(土曜日)東南第1805号「ドキドキ、ワクワクしながら、挑戦できる高校を選んでほしい」と校長の小川雅史さん。写真右から、大陽美月さん、大陽宏明さん、小川さん、矢田捷人さん、矢田祐子さん掲載エリア北西(池)北中(万)北東(茨)京阪(菊)南大(泉)大シティ大北(城)大南(浪)阪東(崎)阪中(甲)阪北(歌)他神明(明)神東(灘)送り組都合●大学・研究機関と連携、全員で取り組む探究活動 専門学科「京都こすもす科」を設置する京都府立嵯峨野高等学校(京都市右京区常盤段ノ上町15)を訪れたのは、矢田捷人(はやと)さんと母親の祐子さん、大陽(たいよう)美月さんと父親の宏明さん。捷人さん、美月さんは中学2年生です。今春、嵯峨野高校に着任した、校長の小川雅史さんが校内を案内してくれました。 「京都から日本の伝統文化を発信していくという意味と、宇宙・秩序を表す〝COSMOS〞を仮名表記することで、日本のアイデンティティーも込められています」 「京都こすもす科」は前期選抜(2月中旬)のみで、京都府全域から受検が可能。普通科は前期・中期選抜。さらに京都こすもす科は出願時に「専修コース」か「共修コース」を選択します。共修コースと普通科は、1年終了後「自然科学系統・コース」(理系)か「人間科学系統・コース」(文系)へと分かれます。 専修コースは、3年間理系の一貫教育。「スーパーサイエンスラボ」を中心に、京都大学、京都工芸繊維大学などの大学、研究機関と連携し、探究活動を行います。●ユネスコスクールにも認定 同校は、2012年度〜2021年度のSSH指定校、2014年度〜2018年度のSGH指定校となっています。全国に約5000ある高校の中で、両方の指定を受けているのは二十数校のみ。 また、パリに本部を置く「ユネスコスクール」にも認定され、世界182カ国、約1万校とつながっています。持続可能な社会の発展のための国際教育、実践的な英語力と国際性の育成を目指します。 毎年1月に実施される、シンガポール研修旅行は、1年生全員が参加します。海外ですが、班別「自主研修」も。英語でコミュニケーションを行い、国際交流を体験する貴重な機会となっています。●プラネタリウムなど充実の校内設備 校内設備もSSH指定校ならではの充実ぶりです。地学実験室には天井に直径4mのプラネタリウムのドームがはめ込まれています。地学教諭の谷口悟さんは「ドームの中に1クラス全員が入って、〝星空〞を見ることができます」と話します。 芸術に関する教室は工芸彫刻実習室、構成デザイン室、伝統工芸染色実習室、伝統工芸陶芸実習室、絵画素描室と5つの専門に分かれています。 学内見学を終え、捷人さんは「今野球部に入っています。嵯峨野で部活と両立し、充実した高校生活を送りたい」と笑顔。美月さんも「勉強は難しそうだけれど、自分のやりたいことにチャレンジできる学校だと思いました」。大学のような学びに圧倒されました 京都のさまざまな分野の〝今〟を探るシリーズ。今回は、革新的な取り組みを行う公立高校を3回にわたり特集します。第1回は、文部科学省「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」と「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」指定校の京都府立嵯峨野高等学校。2組の中学生とその保護者が訪ねました。嵯峨野高校自慢のプラネタリウム。ドームに広がる星空に「すごい!」と歓声が上がりました大学の研究室さながらの理系実験室。サイエンス部の部員が四つ葉のクローバーを使った研究の最中に遭遇本格的なスタジオ設備は、クラブ活動や文化祭でも活躍伝統工芸染色実習室の藍染めを見学憧れの高校でがんばっている先輩、辻田ひよりさん、竹村将汰さん(写真左の2人)にアドバイスをもらう、美月さん、捷人さん中学生と保護者が京都府立嵯峨野高等学校を訪ねました蔵書数約3万冊を誇る図書館※スーパーサイエンスハイスクール(SSH)、スーパーグローバルハイスクール(SGH)=いずれも文部科学省の制度。SSHは2002年度~。理科、数学に重点を置いたカリキュラムの開発や、大学および研究機関などとの効果的な連携方策を確立するために、理数教育を重点的に行う高校が指定されている。SGHは2014年度~。グローバルリーダーの育成を目指し、国際的に活躍できる人材育成を重点的に行う高校が指定されている。各種ラボでの学びや、アカデミックな講座も主体的な高校生活を過ごして 今年入学したばかりの竹村将汰さんは「ぼくは中3から嵯峨野高校を目指しました。小テストなど、毎日コツコツと積み上げていく勉強法がおすすめです」と2人にアドバイス。同じく1年生の辻田ひよりさんは「英語が好きだったので、この高校を選びました。サマーセミナーが楽しみです」と充実した表情で話してくれました。 「京都こすもす科を立ち上げた二十数年前の理念は生きていると思います。〝主体的〞と〝積極的〞は似た言葉ですが、登山に例えると、前者は、方位磁石を持って自らルートを決めて進むこと。後者はあらかじめ決められた道を、地図を頼りに進むという違いがあります。ぜひ主体的に志を持って生きていく人になってほしい」。校長の小川さんから2人へ、熱いメッセージが送られました。 スーパーサイエンスラボとは、物理系、化学系、生物系といった分野を少人数のラボ(研究集団)で学び、高い専門性を身につけて、大学での学問研究の基礎、土台を築くことを目的としています。理系の授業を英語で行うサイエンス英語(SE)など、専門分野を英語と組み合わせる授業も。これを聞いた大陽宏明さんは、「大学並みの鍛え方ですね」と感心しきり。 共修コースでは、海外の高校生との交流の機会も多く、夏休みの英語集中合宿(サマーセミナー)ではネーティブの講師が徹底的に鍛えます。 フィールドワークも含めた「アカデミックラボ」では、「京の食文化」「京・平安文化論」など多彩なテーマの講座が開かれ、普通科も、それに準じた内容になっています。

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