リビング京都 西南版 2017年7月1日号
7/12

(7)2017年7月1日(土曜日)西南第1809号 山登りや里山歩き、ピクニック、キャンプなど、屋外でのレジャーが楽しい季節になりましたね。でも、自然の中では、昆虫やヘビなどから被害を受ける可能性があるということも忘れてはいけません。予防のための注意事項や対処法などを、広島県立福山少年自然の家(金江町藁江)の石川順雄所長に聞きました。こんなときこんなアウトドア注意点レジャーでの※福山少年自然の家の「利用者向け危機管理マニュアル」を参考に作成5月13日号「リビングふくやま」より5月13日号「リビングふくやま」より虫刺!にされたヘビかま!にれた危険な野生動物対処などへのヘビ(マムシなど) 本来ヘビはおとなしいので、特に理由がない限りわざわざ人間を襲うことはありません(人間の話し声などで、ヘビのほうが逃げます)。予防万一かまれたらすることかまれた時にしてはいけないこと❶草むらなどに近づくときは、足元をよく確かめる❷水辺の草むら、樹木の穴、落ち葉のたまった場所などに、不用意に手を差し入れない❸ヘビを見つけても捕まえようとしたり、近づかない❶ 119番して医療機関に搬送してもらう(かまれた人は救急車が来るまで安静にその場に待機)❷保冷剤などがあれば、かまれた部位を冷やす❸ 毒の吸引器があれば、速やかに毒を吸い出す(すぐにその場で対処するのでなければ効果はない)❹可能であれば、ヘビの種類を見ておく❶ 毒を口で吸い出そうとしてはダメ(口内の傷 や虫歯などから、毒が体内に入るので)❷かまれた人を歩かせたり、走らせてはダメ❸ 血流を止めるような無理な圧迫(止血帯の使用には専門知識と技術が必要)※野外活動の内容により、長靴・軍手などを着用。熱中症対策にも気を付ける※1=毒の吸引器は、エクストラクター、ポイズンリムーバーなどの名称でアウトドア用品店などで売られています服装は長袖・長ズボンで持ち物なるべく1人で行動しないアウトドアで遊ぶときは、長袖・長ズボンを着用し、肌の露出を避けること(ズボンやシャツの裾などは入れ込む)。首にはタオルなどを巻く、虫よけ剤、虫刺され薬、保冷剤、毒の吸引器(※1)、粘着テープ、ワセリンなど。帽子をかぶる。足元や首元、肌が露出する部分には虫よけ剤をつける。野外では集団行動が基本。なるべく1人で行動しないこと。できれば3人以上で行動を(何かあった時に、1人は助けを呼びに、1人はけが人を手当てしたり、状態の観察をして救急隊員など助けにきてくれた人に説明できるので)。大人は子どもから目を離さない。危険回避は予防が一番!マダニ予防屋外での活動後にすること吸着したマダニの除去方法体に付いたマダニを発見した時してはいけないこと❶ ナイロン素材などのサラサラした生地で、明るい色の服装(ダニが取り付きにくく、取り付いた場合も見つけやすい)❷ 「ディート」という成分の含まれた虫よけ剤を活用する(子どもに使用する場合は使用上の注意をよく読むこと)❸道端の草などに触れないように歩く❹地面に直接座らない❺長時間立ち止まらない❻体や衣服を時々はたいて、付着したダニを落とす❶屋内に入る前に、衣類の表面をよく払う❷マダニを発見した場合はガムテープなどで取る❸ 脱げるものはその場で脱ぎ、ナイロン袋に入れて口を縛ってから、屋内へ持ち込む。また、脱いだ衣類は放置せず、すぐに洗濯する❹ 背中や頭などに付いていないか(かまれていないか)、ほかの人にも見てもらう❺ すぐに入浴して体をよく洗う。入浴時、体にかみ跡がないか、マダニが吸着したままになっていないか確認する(首や手、足首など露出した部分を重点的に)。※ペットを介したダニの屋内への持ち込みにも要注意 基本は医療機関を受診して除去してもらいますが、自分で除去する「ワセリン法」方法も。❶マダニが吸着している部位を体ごとワセリンで覆う❷30分放置する❸ ガーゼや布でふき取る(マダニが窒息して自ら放す)❶ 指やピンセットなどでそのまま引っ張って取り除こうとする(マダニの口器がちぎれて体内に残る場合がある)❷ 皮膚に吸着したままの状態でつぶす(マダニの体液などが体内に逆流してしまうと感染症のリスクが高まる)❸ 発見したのに放置する(うっかり何かに接触するなどして①②のようなことが起こる可能性がある) 野山に生息するダニ類は冬以外、年中活発。日本各地に生息しているので、レジャーだけでなく、農作業や庭仕事、ペットの散歩など、日常的な野外での活動でも注意が必要。かまれても痛みやかゆみはありませんが、放置しておくと1週間以上も体に取り付き、吸血し続けます。野山のダニ類にかまれた場合、日本紅斑熱、つつが虫病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)といった病気に感染する恐れも。感染すると数日~2週間程度の潜伏期間があります。発熱、嘔吐(おうと)・下痢などの症状が出たら早急に医療機関を受診し、「野山でダニにかまれた可能性がある」と伝えて。スズメバチ予防スズメバチの姿や巣を発見したらすること❶黒っぽい服装は避ける(スズメバチは黒っぽいものを攻撃するため)❷ジュース、お菓子、香水など甘い匂いのするものは避ける❶気づかれないように静かにそーっと後退して、巣から離れる❷ 既に気づかれている場合は、目も口も閉じ、姿勢を低くするか棒立ちになってじっと待つ❸待っていて、警戒行動(★)が見られない場合は、静かに後退する スズメバチは外敵から巣を守るために、次のような警戒行動を取り威嚇します。❶繰り返し、人の間近を旋回する❷ホバリングして人を凝視する❸顎をかみ合わせてカチカチと威嚇音を立てる※警戒行動にさらされても、こちらが攻撃的な態度を取らなければ5分程度でスズメバチは飛び去るので、その間はじっとガマン刺されてしまったらやってはダメなこと❶ 砂や石を投げて追い払おうとしたり、タオルや帽子で叩き落とそうとすることは厳禁❷ 大声を上げて騒ぐと、逆にスズメバチを挑発し、興奮させる❸ 急に向きを変えたり、いきなり走って逃げることは避ける(スズメバチは急激な動きに反応するため)❶ 巣から遠く、安全な場所まで移動する(スズメバチは連続して刺すだけでなく、さらに多く仲間を呼び寄せながら攻撃を続けてくるため)❷119番して救急車を要請❸ 毒の吸引器を持っている場合は、すぐに使用する(すぐにその場で対処するのでなければ効果はない)❹ 保冷剤などがあれば、刺された部位を冷やす(濡れタオルやアイシングスプレーなどでもOK。ただし、痛くなるほど冷やすのはダメ)❺ キャンプ場などの場合、ただちに管理施設に連絡する アウトドアで最も怖いのがスズメバチ。5月ごろから新しい巣を作り始め、秋ごろまで活発に活動します。木の根のそば、建物の軒や屋根裏など至る所に巣をつくるのでどこにでもいる可能性があります。姿や巣を見つけたら近寄らないのが基本。スズメバチに刺されると、激しい痛みが生じ、アナフィラキシーショックを発症し、最悪の場合、死に至ることもあります。★警戒行動

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る